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砂漠に舞う花びら
波のようにうねった砂丘。その表面の砂が黄色い飛沫をあげて風に流されている。
ここはタクラマカン砂漠。超微粒子の砂が何千年も堆積してできた広大な砂の大地。灼熱の太陽に焼かれた大地から、炎が立ち昇るようにもやもやとゆらめいている。光の屈折だとわかっているが、暑さのせいで視線も歪んでいるよう。
誰もがこの場所に佇むと、自ずと死を考えさせられるだろう。水も食料もない。空気が渇き、気温も50度を越えている。呼吸するのがやっとの状態。とても人が生きていける環境ではない。
そのような砂の大地の空に紫音と鈴玉が筋斗雲のようなものに乗って現れた。
「紫音さん、この辺り一帯がタクラマカン砂漠ですよ」
「おおー! めっちゃでかい、お砂場やな!」
「お砂場って、フッフフ。でも、紫音さん、こんなだだっ広いところで、どうやって仲間の方を探すつもりなんですか?」
「そうやな、大体、半径500キロぐらいやったら仲間の気を辿って感知できるんや」
そう言って紫音は、空の結界を広い範囲に張り巡らせた。
「ん!? サブさんやん。ちょっと鈴玉、降下するぞ」
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