玲伊サイド:彼女にキスした理由

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   彼は、俺の目の奥を探るように見つめてきた。  それだけで、その言葉に嘘がないことを見抜いたらしい。  やはり、20年近くの友達付き合いはだてじゃない。 「お前が真剣なら、俺が口をはさむ道理はないな」 「いいのか」 「優紀も、もういい大人だ。遊びで(もてあそ)ぼうとするなら、お前であろうと許しはしないが」 「そんな訳、ないだろう」  浩太郎は軽く頷き、俺の肩を叩いた。  スマホが鳴った。  紀田さんが来たようだ。 「今、ちょっと取り込み中で店に戻らないといけないんだ。また来るよ」 「ああ。またな」  優紀の様子は気がかりだが、藍子さんも浩太郎もいるから問題はないだろう。  もうひとつの気がかり、紀田さんの話を聞くために、俺は自分の店に戻った。
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