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最期の言葉
夫が亡くなった。
水の事故らしい。
私が現場へ向かうと、夫は川にプカプカ浮かんでいた。
「これなんでしょう?」
「タイイングメッセージでは?」
「ではこれは、事故ではない可能性が……」
警察たちがなにか話している。
タイイングメッセージ?
「奥さん、これに見覚えは?」
そう言って見せられた謎の文字。
他の人には分からないけど、私には分かった。
——これは、私たち二人だけが読める文字。
夫が作ってくれたんだ。
私が泣きながら言うと、一人の警察が優しい声で言った。
「では、なんと書いているか読んでもらえませんか?」
「——悠美、愛してる」
読むと、私はまた泣いた。でも、違う意味で泣いた。
やはり、夫——悠也は亡くなってしまったんだね。
私のことを愛してくれてたんだね……。
ごめん、ごめん。殺しちゃって、ごめん。
* * *
あの後、私は自首して捕まった。
今日は、タヒ刑の日。
「本当にここで良いんですか? 奥さん」
「はい。ずっと夫の隣にいたいです」
私も悠也のこと——
「愛してる」
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