5人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
甥っ子がテーブル隅のケースから、紅しょうがを取り出した。自分の分だけではなく、あたしのチャーハンにも振りかけてくれる。
一口食べてみると……何だかすごくしっくりきた。紅しょうがのスースーした感じが、油のしつこさを中和してくれる。お腹の底の方が少し暖かいような気がするのは、その味のせいばかりではないだろう。
もしかして、あたしはずっとこれが欲しかったのかもしれない。
「時間切れは時間切れだからね。追加料金はきっちりいただきますよ」
あくまでぶっきらぼうな店主の言葉も、もうそこまで気にならなかった。
軽く横目で甥っ子を見た。相変わらず表情は読めない。結局、あたしのことをどう思っているのかもよくわからない。ただ無心に、レンゲを口に運んでいる。
あたしもレンゲを突き立て、さっきより食べやすくなったチャーハンをかきこんだ。なんだ、まだ食べられるじゃん。
最初のコメントを投稿しよう!