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【5.占いの結果】
その日は、少し気温が高めの晴れた日だった。
アリーは王太子の側近を務めている例の男友達に、王宮内の噴水前に呼び出されていた。神詣での日の件らしい。
「あれ、まだ来てないのかな」
とアリーがキョロキョロ辺りを見回したとき、
「やあ、こっちだ」
と声がした。
アリーは振り向いてびっくりした。きさくに歩いてくるのが男友達ではなく王太子だったから!
アリーは先日の2度目の水晶玉占いに王太子が映ったのを思い出し、恥ずかしさでいっぱいになった。
しかし王太子は面と向かってアリーに話しかけるので逃げようがない。
「君、水晶玉占いやるんだって?」
「はあ。まあ……」
「当たるんだってね」
王太子はにこにこしている。
アリーはドキッとした。
「占ってくれ」とかそういうことだろうか?
しかし王太子は思ってもなかったことを言った。
「どんな占いに僕が映ったりしたの」
アリーは唐突な質問に狼狽した。
「あ、えーっと……?」
なぜ水晶玉に王太子が映ったことを知っているのか。
「ちょっと前にデレック(※アリーの男友達)に聞かれたんだ。『神詣での日に俺たち滝なんか行かなかったですよね』って。いや、あまりに身に覚えのない質問だったから不審に思って詳しく聞いてみたら、君の名前が出たってわけだ。君の水晶玉占いの噂は聞いてたからね、もしかして占いとかそういうことなのかなと思って」
アリーは図星過ぎて下を向いてしまった。
王太子はさらに言う。
「君のご実家のオークリル侯爵家にも聞いたんだよ。君、あの日、どこかの滝に行ってたんでしょ。それはどういう理由で?」
アリーは真っ赤になった。
まさか自分の運命の人を占おうとして、エイプリルフール設定の水晶玉に揶揄われたなんて言えるわけない!
アリーが真っ赤になってもじもじしているので、王太子は何か勘違いしたようだった。
「あれその顔、もしかして。えーっと、僕が君の相手……とかそんななのかな」
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