【3.自分の運命の相手は】

1/3
前へ
/11ページ
次へ

【3.自分の運命の相手は】

 アリーの水晶玉の件は(またた)く間に大評判になった。  王宮であまり(こころよ)く思われていないマーサが世の令嬢の憧れイケメンを勝ち取っただけでも大騒ぎだったし、しかもそれが『水晶玉のおかげ』だというのだから!(※事実と違う)  翌日からもう、次から次へと令嬢たちがアリーを訪ねてきては「占って」と頼む。  アリーもマーサばっかり贔屓(ひいき)しているとか陰口を叩かれたくなかったので、できるだけ応じるようにした。 「あなたの好きなクラウス様もあなたのことが好きなようです」 「あなたはダグラス様とは残念ながら結ばれません。ダグラス様の好きな人はベッツィー嬢だそうです」 「あなたはゲイリー様に誕生パーティで断罪・婚約破棄をされます。でも、あなたはすでに今この占いにより未来を知っていますから、そのときまでにはフラグを全部へし折り、婚約破棄&断罪劇はみごとなざまぁ劇になるみたい」 といったように。  そして「当たったわ!」とか「役に立ったわ! ありがとう」とかいう声がたくさんアリーに寄せられたのだった。  そうするとアリーも少し興味が出てきた。自分の運命の相手は誰かということに。  アリーはずっと水晶玉がおもちゃだと思っていたのだが、こうして「当たった」という声を聞くと、占いを信じる気持ちもむくむくと湧いてくる。アリーは散々(さんざん)迷ったけれど、ついに自分を占ってみることにした。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22人が本棚に入れています
本棚に追加