【4.不具合】

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「変な設定?」 「ええ。エイプリルフール設定」 「は? 何その設定」 「うん、テキトーな未来を見せて、嘘ですよーっていう」  デボラはきまり悪そうに頭を()いた。  アリーはへなへなと体から力が抜けるのを感じた。 「はは……ああ、そういう……」 「ごめんなさいね、水晶玉が勝手に未来に嘘をつくの」  デボラは申し訳なさそうだ。  アリーは合点(がてん)がいった。  なるほど、きっとアリーが自分を占ったのは4月1日だったに違いない。エイプリルフール設定がアリーにおちゃめな嘘を見せたのだ。  デボラはてへっと笑った。 「でも大丈夫ですよ、設定は4月1日だけですから、もう普通に占えるはずです。やってみましょう。水晶玉さん、この人の運命の人は誰?」  デボラは相変わらずせっかちな様子で、アリーに是非(ぜひ)も問わずに占いを始めてしまった。 「え、ちょっと……!」  アリーは突然すぎて戸惑(とまど)ったが、もうデボラは水晶玉に聞いてしまっている。  アリーは観念して恐る恐る水晶玉を覗き込んだ。――そして、ふうっとため息をついてから(つぶや)いた。 「だめよ。この水晶玉、まだ調子悪いみたい。前回と同じ。王太子様が見えるわ」  デボラは目を上げる。 「えー? もう普通に占えるはずですけど。前と全く同じ?」 「えっと、同じっぽいけど。ん? ちょっと違う……?」  同じ鮮やかな緑の季節だけど、前回とは少し緑の雰囲気が違うような。そして背景は……水っぽいけど、何となく前回の滝とは違うような――。えっ、違う? 違うってことは、えっ、もしかして?  デボラの方はアリーの様子に気付かず「前回と違うなら、ちゃんと当ってると思うけどなあ?」と()に落ちない顔をした。 「ちゃんと当ってる?」  ということは。アリーの心臓が早鐘(はやがね)のように鳴り出し、頭の中が真っ白になった。
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