食欲の代償

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「あー……くっそ腹減った。」  午前2時、こんな時間に何かを食うと太るだろう。  そんな事は分かっているが、育ち盛りである17の俺にとって空腹は我慢できるものでもなかった。 「何かねぇか……って、何もねぇ……。」  一人暮らしの空虚で小さな、ボロいアパートの一室。  その脇にポツンと佇んでいる冷蔵庫を乱暴に開けるも、ここ一週間必要最低限の外出をしていないからか食べられそうなものは何もなかった。  唯一あるのは、つい3日前に来た親父の酒の飲みかけだけ。  流石に未成年飲酒をするわけにもいかず、大きなため息を思い切り吐き出して畳に寝転んだ。  ……ったく、腹減ったから寝れねぇじゃねーか。  一度考え始めたらその思考が変わる事はなく、チッと舌打ちする。  水じゃ腹は満たせねーし、かといって外に出る気力なんてありゃしない。  この時間の宅配サービスはヤバいやつしかないだろうし、朝になるまで我慢するしかねぇのか……。
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