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「お前さ、その、まぁいっかーていう顔やめろよ。ムカつく」
だから、何で右京が怒るかな。
せっかくカッコよくスーツを決め込んでいるのに顔だけが般若のような恐ろしさ。
彼のいつもは整いまくっている顔があまりに怒りで崩れているので遥は思わず笑ってしまった。
「遥、笑うとこじゃねぇ。大事な幼馴染をコケにされて冷静になれるかっ」
ん?
大事って。
私?
「そうだよっ。他に誰がいるよ。保と約束したから今まで手をださずにきたのに、あんな野郎に傷つけられるんだったら俺のもんにしたわ。クソが。」
保とはインドに飛んだ我が兄なのだが約束とは?
遥がポカ〜んとした間抜けな顔をしていたのだろう。右京は盛大なため息とともに突然吐露し始めた。
自分は男も女も好きでそれをダメだと思った事などない。だが保にとっては右京は危険人物と認定されたらしい。
ちっちゃな頃から遥を好きだったけど、保に絶対手を出すなと釘を刺されていた。不安材料が女だけじゃなく男までなんて遥には無理だし妹には普通の恋愛をして欲しい。
だから、絶対に手を出すな。と
「高校生だった頃には女も男も周りに寄ってきたからさ遊んでるように見えたんだろうな。
で、そう保に言われたんだよ。
いっつもヘラヘラしてた奴がさクソ真面目な顔して真剣に」
だからな。
せめて幸せになってもらいたかった。
好きな女には。
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