その鐘を鳴らすのは

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マジで? 人生において心臓飛び出るほどの出来事が3回はある。そう何かの本で読んだ事がある。 えぇ!3回も!! と思ったのだが、幼い頃に両親が離婚しちゃった事や、兄がいきなりインドで生きたいと日本を飛び出したりした事は本当にちっちゃな豆粒みたいなもんだったな。 そう今なら分かる。 何故なら目の前で今まさに誓いの言葉を交わした相手が涙ながらに「ごめんね、(はるか)」と呟いたからだ。 そして、新郎であるはずの彼は今突風のごとく入り込んできた男の手を取り遥から視線を外した。 招かれざる人物であるその男は、先程チャペルを盛大にこじ開け「ちょっと待てよっ!」と何やら懐かしいドラマのセリフを吐きながら遥達がいる神聖な場所へと走ってきた。 「健斗、お前じゃないと俺はダメだ。愛してる」 などと目と目を合わせて愛の台詞を語らいだした野郎に対して「アンタ誰?」としか遥の脳には浮かばず周りの騒めきさえも耳には入って来なかった。 乱入してきた男と新郎であったはずの健斗は、そのまま手と手を取り合い2人の世界を作り上げて去って行った。 そう花嫁である遥を置き去りにして。 「だ〜から言っただろ!アイツ何か怪しくねぇか?って」 あれから大騒動となり、とりあえず式は中断、相手方からの土下座ばりの謝罪、来客への謝罪など夢であってくれよ!と思うほどのてんこ盛りな1日で今さっき控室に戻ってきた早々幼馴染の右京(うきょう)に絡まれているというわけだ。 「俺はな、見たら分かるんだよ。だから、あれほど確かめろよって言ったのに、案の定横から見事に掻っ攫っていかれたじゃんか」 右京は男も女も大好き。つまりバイだ。 それもあってなのか単に好きがこうじてなのかは分からないが小洒落たBARを経営している。 頭の良さは大学教授をしている母親譲りで顔は元モデルをしていた父親譲り。 大手企業にも内定していたのに肩苦しい場所は苦手だと自分で夜のBARを開業した。 見た目はモデル顔負けの強者なので、右京目当ての客もいるがちゃんと酒に関しても修業し勉強もした上でやってるので、本当に美味い酒を出すためかなり繁盛している。 そんな右京の顔だけでなく、ちゃんと努力する頑張り屋なところは尊敬している。 だが、いかんせん 幼い時から遥への当たりがキツイ。
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