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「販売はしないって言ってたじゃないですか。というか、そんなことしたら、ミラの維持費分うちがまるっと損しますよ」
「いいだろ。その分ミラにうちの仕事をさせれば」
「ミラが事務仕事が苦手なの、忘れたんですか」
昔に比べると最近はずいぶんと経営者らしくなってきたと思っていたのに、やはり根本は変わらない。
黙り込んだ柏木に、ハヅキは、これ以上は言っても無駄だとあきらめ、端末を操作する。本格的に、ミラの代わりに契約先に紹介するアンドロイドを考えなければならない。
ぶつぶつ文句を言いながら端末を操作するハヅキに、柏木はぽつりとつぶやく。
「…………ミラも、そろそろ幸せになってもいいだろ」
「もし綾瀬くんが途中でやめちゃったらどうするんですか」
「あいつはやめないよ」
なにを根拠に。
はっきりと言い切った柏木をじろりと横目で見たハヅキは、あ、と気付き、口角を上げる。
「似てますもんね、昔の柏木さんに」
今度は柏木がハヅキを睨んだが、ハヅキはにこりと微笑んだ。
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