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「ミラを貸し出す予定がないなんて、嘘ばっかり。まさか、それもエイプリルフールだからとか言うつもりですか」
綾瀬と、彼を見送るように言われたミラが事務室を出ていったあと、ハヅキが眉間にシワを寄せながら言う。
「…………いいだろ、まだ本決まりの契約はなかったんだから」
「しかも、不定期で貸し出すだなんて。あの様子だと、綾瀬くん、生活費を切り詰めてでもお金を用意しますよ」
「それでもかまわない。借金とかじゃなければ」
「でも、そんなこと、いつまで続けさせるつもりですか」
ミラに会うためにお金を用意し続けるなんて。若者になんてことをさせるのだ。
非難するハヅキに、柏木は、何度目になるかわからないため息を吐いた。
「そんなこと、させるつもりはない。ハヅキ、綾瀬が持ってきたお金は全部つけておいてくれ。合計額がミラが買える額になったら、ミラを渡すから」
「え…………」
ハヅキは目を見開いた。
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