泣けない君は、嘘もつけないから

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「だったら、なんで1週間後になんて」  カレンダーへ目をやったハヅキは、はっと目を見開く。そして、眉間にシワを寄せた。 「まどろっこしいことを。そんなの、二人とも傷つくだけじゃないですか。だいたい、綾瀬くんが気が付かなかったらどうするんですか」 「賭けだよ。気が付いたら終わり、気が付かなかったら、その後また考える」 「なんだかんだいって、甘いんですよ。そんなのでこれからやっていけると思ってるんですか」  ぶつぶつと文句を言いながらも、ハヅキは手元の端末でミラの今後の契約先候補を確認している。万が一がおきた場合、契約先に別のアンドロイドを紹介することになる。その段取りを組めるか、確認しているのだろう。  お互いさまなんだよ。  事務的というよりも冷徹といった印象だったハヅキも、ともに働くようになってからずいぶんと変わった。  でも、ハヅキには悪いが、きっとうまくいかない。おそらく、あの綾瀬という男は気がつく。 ────柏木のそんな予想は的中し、1週間後、ミラはあの泣きそうな顔をして、事務室へ飛び込んできた。
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