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「あ、花凛ちゃんのお母さん。ちょっといいですか?」
いつものように娘を迎えに行くと深刻そうな顔で事務室へと呼ばれてしまった。なんだろう。また食べ物の話だろうか。うんざりしながら椅子に座ると、一枚の画用紙を差し出された。
「花凛ちゃんが描いた絵なんですけど……」
花凛は幼いながらに、まあまあ絵がうまい。画用紙には壁らしきところに無数の顔が描いてあり、その壁面を天使の羽根をつけた女の子が眺めているといった絵だった。
「これがなにか?」
「花凛ちゃんに、どういう絵なのか聞いてみたんです。そしたら……壁に描かれているのはお母さん候補で、自分はその中から今のお母さんを選んで生まれてきたんだと言っていました」
「はあ……」
「それで……じゃあ、花凛ちゃんはお母さんが大好きなんだねと言ったら……」
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