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変な子だと思う。
うちの母親は「あんたも変子だったからねえ」と楽しそうに言うけれど、わたしはごくごく普通の子供だった。むしろ、母が変なのだ。母はそれこそどこにでもいる平凡で平均的な女性で、それ故にか『変』であることをひどく好んだ。
普通は変だと言われたら嫌な気分になるだろうに、うちの母は違ったのだ。変、変わってる。そう言われることがひとつの個性だとでも思っているらしく、ごくごく普通のわたしを変だ変だと言いながら育てた。今でも言う。花菜子は変子だねえと、ひどくうれしそうに。
哺乳瓶を持って寝室に戻ると花凛は夫に抱かれながらも、まだ泣いていた。
「おぎゃあぎゃあぎゃあぎゃあ」
変な子。泣き方まで変だ。最近ではその泣き声が「お腹がすいた」と聞こえる。まったく気味が悪い。夫から花凛を受け取り哺乳瓶を口へ近付けると、待ってましたとばかりに吸いつき、時おりほっぺたを凹ませながらものすごい吸引力で飲みだした。
哺乳瓶はあっという間に空となり、背中を擦る間もなく、花凛はげぼっとゲップをして目を閉じてしまった。
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