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笑って「ううん。大嫌い」と。
花凛がそう言ったと幼稚園の先生は非常に言いにくそうに告げた。なにか家庭で問題があるのか、それとも花凛が精神的に不安定になっているのか。とにかく注意してよくみてあげてくださいとのことだった。
一瞬、虐待を疑われているのかと激昂しかけたが、そんなことは少しも疑っていない、むしろ花凛のために頑張っているお母さんだからこそ、どうして大嫌いなどと言うのか困惑していると──。
「──ねえ、花凛。今日、先生に花凛の描いた絵を見せてもらったんだけど」
「うまれるまえのきおくだよ」
「え?」
「こどもは、おかあさんをえらべること、えらべないこがいて、かりんはえらべるこだったんだ。かみさまが、このなかからすきなおかあさんをえらんでいいよっていってくれたの」
くふふと花凛が笑う。
「かりん、すぐわかったよ。このひとだなって。このひとが──ごはんをたべさせてくれなかったひとだなって、すーぐわかった」
たらり。脇に嫌な汗が流れた。
「おかあさんのせいだよ。おかあさんのせいでしんじゃったんだ。だから、こんどはいーっぱいごはんたべさせてもらおうってきめて、かりんはおかあさんのこどもになったんだよ」
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