第三日

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第三日

 翌朝、コンスタンツェはシーツを見て、幼い頃に粗相をしてしまったことを思い出した。しかもこれはサーシャとの閨教育でこぼした蜜の汚れである。己の淫蕩さを実感させられる分、恥ずかしさが上かもしれない。どうすればいいのだろうかと彼女はひそかに焦った。  コンスタンツェの心配は杞憂であった。侍女達は彼女の気持ちなど気にも留めず、淡々と湯浴みをさせ、戻った時には寝台が綺麗に整備されていた。  コンスタンツェは朝食と昼食の間のような食事をとり、少しだけ城内を回った。壁に歴代皇帝の肖像画が飾られていて、コンスタンツェは思わずしげしげと眺めてしまう。絵画の技術が発展していないのか、あえて抽象的に描く文化なのか。どちらかはわからないが、あまり写実的ではないため、本当の顔を想像しにくいとコンスタンツェは思う。アレクサンドル陛下の絵姿からも、金の髪と翠の瞳という情報しか得られなかった。
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