新たなお仕事

9/12
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/179ページ
「あのなぁ。今使えたって意味ないだろ。……いや、今からもう一回いって……それより、原理の解明が先か?」  クロウが真剣な顔でむずかしいことをブツブツいっている。でもでも、これで決まりだ。クロウは立派な召喚獣!  むずかしい顔をしているクロウの横で、わたしもどうやってクロウを説得させるか考える。お仕事しないと生活できないよ! とか? 一回だけ! ってお願いしてみるとか?  うんうん考えていると、張り紙のあるよろず屋探偵事務所の扉が内側からひらいた。 「お、客か?」  ゆるくウェーブした、まぶしいくらいの金色の髪をした男の人。口には棒つきキャンディー。  すこしたれた目がわたしを見てきゅっと細くなる。ドッキーンと心臓が跳びはねた。ど、どうしよう。まだ心の準備できてなかったのに! 「おー、どうしたお嬢ちゃん。依頼か?」 「あ、あっ、そ、そのっ」  うつむいてもじもじと手をいじる。顔があっついよー。どうしよう。これじゃバレちゃう。  わたしがシタゴコロで働こうとしてることが! 「んん? まー、話はなかで聞こうじゃないの。ほい、どうぞ」
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!