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小さな召喚士
はじめて入ったあこがれのお店のなかは、わたしのオンボロ家とちがって、きちんと整理整頓されたきれいな場所だった。
出窓の近くには葉っぱがツヤツヤしてる緑の植物がかざられていて、かべにはびっしりとなかのつまった本棚がならんでいる。
ほかにも、横に長いテーブルとふわっふわソファ。
この部屋の奥には台所があるみたい。
ここで、所長さんが暮らしてるんだ。
「きれいっ! ステキなところですね!」
「そお? ありがと。リディルちゃんたち、そこ座ってて」
ふわふわのソファに案内されてつい座っちゃったけれど、だめだめ。お仕事なんだから!
「お、お手伝いします!」
「ん? いーからいーから。座ってて」
「わたし、これでもひとりで暮らしてたんです! お茶もいれれます!」
できることをアピールすると、所長さんは目尻をくしゃっとさげて笑う。か、かっこいい!
「働き者だねぇ」
「お、お父さんたちからは、ごくつぶしはダメだと教わりましたっ!」
「ありゃ、それは厳しい。田舎街出身?」
「は、はい。わかるんですか?」
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