何もかも違う

2/13
25人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
『少しだけ残すぐらいなら全部飲んでよね。そしたらすぐ次のお茶作れるのに』  お茶のパックをポットに入れて水を注ぐだけなのに、些細なことで怒っていた凪沙が頭をよぎった。女という生き物は、細かいことですぐに怒る。そんなことどうだって良くないか。  ポットの横には、夜食べたカップアイスの蓋だけ置いてある。そのままリビングで食べたからカップは向こうだ。仕方なくキッチンのゴミ箱に捨てようと思ったら、今度はゴミ箱の蓋の上に、サンドイッチ容器が置いてある。夕飯が少なくて、おなかが空いて食べてしまったのだ。  また凪沙の怒った声を思い出す。 『ゴミは蓋を開けて中に捨ててよ』 『あ、捨てといて』 『それに、明日の朝ご飯のために買ってきてたのに!』 『だって、おなか空いちゃったからさ』  空腹時においしそうなサンドイッチ見たら、そりゃあ食べたくなるだろう。ブツブツ文句言ってるけど、そんなに食べたかったならまた買ってきたらいいだけなのに。 『違うのよ。朝ご飯作らなきゃいけなくなったじゃん!』    何をそんなに怒ってるのか分からない。 『別に、簡単なものでいいよ?』   
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!