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『少しだけ残すぐらいなら全部飲んでよね。そしたらすぐ次のお茶作れるのに』
お茶のパックをポットに入れて水を注ぐだけなのに、些細なことで怒っていた凪沙が頭をよぎった。女という生き物は、細かいことですぐに怒る。そんなことどうだって良くないか。
ポットの横には、夜食べたカップアイスの蓋だけ置いてある。そのままリビングで食べたからカップは向こうだ。仕方なくキッチンのゴミ箱に捨てようと思ったら、今度はゴミ箱の蓋の上に、サンドイッチ容器が置いてある。夕飯が少なくて、おなかが空いて食べてしまったのだ。
また凪沙の怒った声を思い出す。
『ゴミは蓋を開けて中に捨ててよ』
『あ、捨てといて』
『それに、明日の朝ご飯のために買ってきてたのに!』
『だって、おなか空いちゃったからさ』
空腹時においしそうなサンドイッチ見たら、そりゃあ食べたくなるだろう。ブツブツ文句言ってるけど、そんなに食べたかったならまた買ってきたらいいだけなのに。
『違うのよ。朝ご飯作らなきゃいけなくなったじゃん!』
何をそんなに怒ってるのか分からない。
『別に、簡単なものでいいよ?』
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