青空が泣いた日

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***  入刀式。  ジャングルで捕獲した動物の肉はサイズの大きなものに限り、村人全員で分け合うのが村の習わしであった。取り分に関しては、捕獲した者、捕獲を補佐した者、その他、といった順番で自分の分の肉を、個人の裁量により切り分けていく。今回は吹き矢を命中させたリグが最初だった。  長机の上に置かれたジェイクスは、放血や内臓の摘出は既に済んでおり、皮が剥がれて薄桃色の肉が露になっていた。リグはジェイクスに向けて一礼し、手渡された肉切り包丁を持って近づく。刃先は右腕の肩甲骨付近にあてがわれ、彼はその周囲の肉を丁寧に剥ぎ取り、自分の取り分とした。次にアンの番が来る。リグはアンに包丁を手渡す際に、彼女の手が震えていることに気が付いた。 「僕がやろうか?」 「ううん、大丈夫」
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