【2000字で完結】愚かな戦士

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   8歳の誕生日を迎えると、私はお爺ちゃんに連れられてベアナックルボクシングの試合を見に行った。1度は見ておくべきだとあまりに熱弁するものだから、仕方なくついて行くことにしたのだ。お父さんとお母さんは暴力でお金を稼ぐのは間違っている。と考えていたし、私も同じ考えだった。でも━━━  その日、私は戦士と出会ったんだ。  ベアナックルボクシングはその名の通り素手で殴り合う格闘技だ。ときには目潰し、肘打ち、金的など、普通の格闘技では禁止されるような技も飛び交う過激な内容となっている。そんな試合で一人の選手にものすごい声援が贈られた。名はバン・サリドン。どうやら彼はこの競技を象徴する凄い選手らしい。現在進行形で連勝記録を更新しているようだ。しかし、世間の風当たりは厳しい。理由は言わずもがなだろう。人が傷つけ合う姿を見て、一体何が楽しいんだ?  試合が始まった。序盤から挑戦者が激しいラッシュを仕掛ける。サリドンは対応に困っているな。相手がスピード型、彼はパワー型? なのだろう。サリドンは度々カウンターを仕掛けているが、ことごとく躱されている。素人目でも分かるくらい相性が悪かった。さぁ、どうする?  チャンピオン。      
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