光一郎

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光一郎

「エミさん、心友からお電話です」と静香ちゃんが呼びに来た。 何の用だろう?と思いながら電話に出ると 「エミちゃん、元気?」と呑気な声。 「何のよう?」と聞くと 「うん、ちょっと相談があって今いいかな?」 「相談?」嫌な予感しかない。 「先日、みさちゃんからさ、私と結婚する気がありますか?って聞かれたんだ」 あーあれから彼女は聞いたんだね。 ふんふんそうなんだね。 「で?」 「プロポーズするのにさ、SNSを見るとバラの花を送ったって出ていて僕もそうしようかと思ってるんだよ」 そうか良い方に答えは出たんだね。 「ふ〜ん、いいんじゃないの?おめでとう」 「でさ、何本が良いと思う?」 これを聞いた私は、え?それを私に聞く? こうなると呆れるしかない。 何でプロポーズするのにバラの本数を私に相談する? はぁ〜と大きなため息が出るよ。 「あのね、私が何本が良いんじゃない?って言ったらそれにするの?」 「うん、そうしようと思って」 「それ貰う彼女は嬉しくないと思うよ」 「え?何で?」 「何でって、私の為に贈るバラの花束を他の人に決めてもらった。なんて知ったら私なら気分が悪いんだけど」 「え?みさちゃんはエミちゃんの事を知ってるし、すてきな人って言ってるよ?」 「そう言っていてもダメなのよ!!」 何だろうね、この男わ!! 「いい?バラの花言葉をネットで調べて、自分がこれだ!!と思う内容の本数にしなさいね。自分の為に大好きな彼が選んでくれたってのが嬉しいんだから。いい?わかった?」と、くどいようだけれど念押しをしてしまった。 「うん、わかったよ。そうする」と、何だか心許ない声のトーン。 「あのさ、一応言っておくけれど、バラの色は赤だからね。他の色のはダメだからね。いい?赤よ赤!!赤いバラよ、良いわね?赤いバラよ!」 「そんなに言われなくてもわかってるよ。赤いバラね」 本当に、わかったんだろうか。 凄く心配。 「明日の朝、ちゃんと花屋さんにお願いするのよ?」そう伝えて電話を終わらせた。 みささんへのプロポーズが成功しますように。
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