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母の気持ち
君島家からの招待状が届いた。
内容は、君島家の御曹司の結婚相手についてだった。
「ただいま戻りました」と明実さんが帰って来た。
「ご苦労様、エミはなんて?」と聞く。
「お嬢様は、何か予定がおありのようで断って欲しいと言われましたが、これは断れないので必ず出席するようにと伝えて来ました」
「そう、ありがとう。下がって良いわ」
本当にあの子は、昔はあんなんじゃなかったのに、ケイトの事ですっかりヘソを曲げてしまって、家にも寄り付かなくなってしまった。
あの子が家を出てから、我が家は火が消えたように静か。
ケイトが、あの部屋の事でエミが家を出た事を知った時にとても驚き、自分の部屋はどこでも良いから戻って来て欲しいと懇願したが、エミは帰って来なかった。
そして正孝とケイトの結婚式にも出なかった。
正孝も、いくら怒っていようが結婚式には来るだろうと思っていたようだが、エミは現れなかった。
あれから、正孝も悠斗もエミとの接触を試みるがなす術がない。
たまたま出先でエミを見かけたので、そっと跡をつけて美容クリニックで働いているのがわかった。
自分で生計を立てている事に安心。
声をかけず帰って来た。
そしてエミの祖母にその事を伝えると「今は、そっとしておきましょう」と言うので誰にも伝えていない。
今回の君島家との婚姻はどうしても繋げたい。
エミは小さかったから忘れていると思うが、「おさむお兄様のお嫁さんになりたい」そう星に願っていた。
それがどうか叶いますように。
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