106人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ
婚約発表
「さあエミ出来たわ」と2人のお姉様がにこやかに微笑んでいる。
「これが私?」
どう見ても私じゃないわ〜。
別人のようになってる。
あの日、おさむさんが選んでくれたドレス。
薄紫でレースが品よく使われていて、とても軽い。
くるくるっと回ってみたりしている私を見て
「何言っているの。何処から見てもエミちゃんよ」
おかしそうに笑うお姉様達
コンコンとノックの音がして、おさむさんが入って来た。
「あら、スーツを着替えたのね」と美咲お姉様。
「ああ、女性に抱きつかれた服ではエミに失礼だろう」
それを聞いて私は嬉しくて泣きそう。
「エミ、とっても綺麗だ。ドレスが本当に似合っているね」と微笑む。
「おさむさんこそ素敵です」
おさむさんがカッコ良すぎてにやけてしまう。
「さあ、僕のお姫様行きますか。」なんて言うもんだから身体が砕けそうになる。
しっかり、おさむさんの腕につかまって歩かないと倒れそう。
会場となる部屋は、本当に広くてシャンデリアが幾つもある。
ほえ〜って見ていたら
「お姫様、口が開いていますよ」と笑われた。
「だってこんなの見た事ないもん」
そんな会話をしていると、壇上におさむさんの父であるキミジマの社長が。
「そろそろ始まりますね」
「緊張します」と言うと、しっかり手を握ってくれた。
社長の挨拶の終盤に差し掛かった時に
「今日は、皆さんにお伝えしたい事があります。長男のおさむがサカキバラの長女のエミさんと正式に婚約をしました。」
会場からは、大きな拍手と「おめでとう」の声。
2人の馴れ初めを話す社長は、とても嬉しそう。
「花嫁になるエミさんは覚えていなかったようで」には爆笑された。
本当に覚えていなかったのよ。
顔は笑っているけど、冷や汗出てるってば。
パーティーが始まり、おさむさんがシャンパンのグラスを持って来てくれた。
「お姫様、シャンパンをどうぞ」なんて言うもんだから、周りから冷やかされて恥ずかしさ倍増。
今日ほど、穏やかな気持ちです過ごせた日はないなぁと思いながら会場を見渡していた。
最初のコメントを投稿しよう!