お一人様

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お一人様

美香子の事があって、いろいろ考えながら飲んでいると、隣で飲んでいた男の人が「一人ですか?」と声をかけてきた。 見ればわかるでしょ? かれこれ1時間は一人で飲んでるんだから。 よく見ればイケメンくん。 「あなたこそ一人ですか?彼女と待ち合わせとか?」と返事を返す。 「振られちゃったんですよ。他に好きな人ができたからって」 どう見ても爽やかだしイケメンなのに振られる事ってあるんだね。 「そうなんですか。失恋したんですか」とは言ったものの落ち込んでいる様子はない。 この男、名前は、君島さとる30歳と名のった。 女を口説くのに使う手かな? そんな事を思っていたら「実は、彼女がその男と出会ったのが、このバーだったようなんですよ。 だからどんな男なのか見たいと思って」と言う。 「じゃあ、ここじゃない方がいいわよ。こっちこっち、ここは観葉植物で向こうからは見えないのよ」と、彼を引っ張って隠れると誰か入って来た!! (ねぇ、彼女ってあれ?) (そうです。くそ〜男の顔が見えない) (見たいの⁈じゃあそこに居てね) と私は隠れているボックスから足取りも軽く出た。 「こんばんは〜。北林さん、お久しぶりですね。 あれ?こちらの綺麗な方はどなた?」と、わざとらしく声をかけた。 北林は、ゆっくり振り返って私を見るとにこやかに「やあ、エミちゃん元気だった?」と答えた。 女の方は、誰よこの女!って顔をしてる。 大丈夫。心配はないよ。 私は、この男が苦手なんだわよ。 「ええ、とっても元気ですよ。そうそう、美香子が凄く怒ってましたよ。あ、ごめんなさい。お邪魔したらいけないわね。失礼しますしま〜す。ごゆっくり〜」と、手を振りながら席に帰ると、ひどく落ち込んる男が一人。 「大人の男。それもフェロモンダダ漏れじゃないですか。これじゃあ俺絶対に勝てない!!」と嘆いている。 そんな事を言われてもねぇ。 「君も、ずいぶんイケてるからさ元気出そうよね?」と、とりあえず言ってみた。 帰るにしても彼等の後ろを通らないとだから、あの二人が帰るまでは無理。 カウンターにいる潤くんに合図を送り、とりあえず食べるものと飲み物を見繕ってもらった。
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