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ウェディングドレスとカラードレスのデザインも決まり、やれやれと思っていたとこに悠斗から「大変な事になっている」との電話。
いったい何が起きたのかと急いで実家に戻ると、母親が鬼のような顔をして待ち構えていた。
「エミ貴女はいったいどういうつもりなの?私を抜きにしてドレスを決めてしまうなんて許せない!!」と凄く怒っている。
「私が着るドレスを自分で決めてダメということはないでしょ?」と答えると、それこそ烈火の如く怒り出した。
「一人しかいない娘の結婚なのよ!!私にも夢があるの。私の選んだドラスで結婚式を挙げてほしいと願う母親の気持ちは無視っておかしいでしょ!!」と。
「お母様の選ぶドレスは、今まで私に似合ったことはないでしょ?自分の好みばかり押し付けて私の意見なんてまるで無視、そんな人にドレスを選んでもらう気持ちはないわ!」と私もヒートアップしていく。
「ドレスはケイトさんがデザインを描いてくれたの。私の希望をフルに入れてくれて、彼女は有名なデザイナーなの知っていた?」と話すと母は驚いた顔をしている。
「ケイトが?有名なデザイナー?それならなおさら私の希望のデザインでドレスを作ってもらうわ」と息巻く。
「だからもうドレスのデザインは決まって縫製が始まっているの。いまさらデザインを変更なんてできないわよ!!」そう言って家を出ようとした時、
騒ぎを聞きつけた兄とケイトが部屋に入って来た。
「お母様の気持ちもわかります。一生に一度の結婚式ですもの。娘に素敵なドレスを着せてあげたいですよね。でももうドレスはおおかた出来上がっていて、今から変更は無理なんです」と申し訳なさそうに伝えてくれた。
「ドレスを決める時に、ひとこと相談があると思っていたのに」と少しトーンダウンした。
「お母様は、私の事なんてどうでも良かったんじゃないの?」と、この際だから、小さい頃から感じていたモヤモヤを吐き出してみた。
「どういう事?」と訝しむ。
「私は、一回も参観日に来てもらった事がないわ。いつもお兄様と悠斗の所だけ。今度は来てくれるんじゃないかと期待していたけれど、ぜんぜん来てくれなかった。そのうち諦めたわ」それを聞いて口を開いたのは兄貴の正孝だった。
「エミ、俺もそれは気になって聞いた事があるんだ」
「どうせ長男だから後継者として当たり前とか言いそうよね」と、どこまでも捻くれているわたし。
「小学校の頃、男女で校舎が違っていただろ?おふくろは俺と悠斗を見てからエミの校舎までいく間に授業が終わってしまうんだ。だから次はエミから行ってくれって頼んでも俺からだった。」と申し訳なさそうに話してくれた。
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