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「なんだって良いだろうが。別にお前に迷惑掛ける訳じゃねぇし」
「迷惑掛けますよ」
「は?」
間髪入れずに断言し「もし神林さんが倒れでもしたら……」と続ける。俺ははぁと嘆息した。
「お前なぁ、不吉なこと言うなよ」
「今やってるプロジェクトだって止まっちゃいますし」
「そんときは島田が手伝ってくれるだろうよ」
今手がけているプロジェクトは正直翔太一人じゃ不安だ。仮に俺が居なくなったとしても、会社だってこいつ一人に任せることはしないだろう。俺にとっては甚だ不本意だが島田がフォローに入ると思う。
翔太は唇をひん曲げる。
「俺、島田さん嫌いっスもん」
「正直だな」
若い意見に苦笑すれば、翔太は「神林さんだってそうでしょう?」と顎を上げる。
「合わねぇだけだよ」
島田は頭も良いし、人当たりも良い。ほどほどに上に媚びて、でも言いたいことは言える奴。同期の中では出世頭の筆頭だ。俺なんかより島田に付いた方がこいつも出世出来るだろう。まあ、俺は翔太が言うようにあの眼鏡の嘘っぽい笑顔はいけ好かないんだが。
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