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「良いことだぁ?」
ヘラリとした笑顔で思いついたという良いことはきっと碌なことじゃないだろう。仕事のときもそうだがこいつは思いついたままに突っ走る嫌いがある。所謂猪突猛進タイプ。まずはストッパーというか立ち止まって一度考えてみる、そういうことが必要だ。
翔太は改まって俺を見下ろした。
「今日、一緒に夕飯を食いましょう!」
「はぁ?」
翔太は「俺って天才」と人差し指を天井に向けた。俺は紙コップをドリンクホルダーに置いて、ジャケットの裾を合わせるようにして直した。また擽られでもしたら嫌なので、念のためボタンも一つとめる。
「呑み会でもしよーってのか? 誰誘う気だよ」
いくら暇人が多くても、今日の今日で来る奴とか居るのか? 気を遣う呑みはご免だぜ。
けれど翔太はきょとんと目を丸めた。
「え? サシですけど?」
俺はその目に釣られてパカンと口を開けた。肌の色に比べて薄い色の瞳が俺を映している。
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