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「は? 馬鹿か。会社でも顔付き合わせて、昼飯も一緒だっつーのに、夜まで一緒に居る気かよ。しかも月曜だぜ」
一週間の始まり。これから金曜日まで——いや違う。今週は土曜出勤だったはずだから土曜日までこいつと顔を付き合わせるっつーのに。
「良いじゃないですか」
「夜ぐれぇ仕事のことなんて忘れたいだろ」
「仕事の話なんてしませんよ……いや、愚痴くらい言うかもしれないっスけど」
「お前の顔を見ると思い出すんだよ、仕事を」
そこまで言って黙り込む。翔太に限ったことじゃないが、職場の人間の顔なんてプライベートでは見たくない。取引先だってそう。こういう考え方は公私の切り分けが出来てないってことかもしれないが仕様が無ぇだろ、俺はそういう人間なんだから。
翔太は乗り出していた身体をシートに戻し、ううんと唸り声を上げた。
「これは由々しき問題っス」
「由々しき? そんな大げさなことじゃねぇけどな」
(また変な方向に突っ走ってるんじゃねぇか?)
俺は紙コップに手を伸ばす。流石に飲み易い温度になっているハズだ。
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