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「染井くんも、ありがとうございました」
「あ、俺のこと、認識してくれた?」
いつもなら、自分の体なのに、自分の思う通りに動かすことのできない悔しさを、どう処理していいのか分からなくて泣いてしまうこともある。
でも、今日は染井くんが傍にいてくれて、高校生にもなって泣いてはいられないって手に力を込めた。
「これでやっと、猪口さんの友達になれたかな」
私は染井くんのことを知ったばかりなのに、彼は私の友達になれることを喜んでくれる。
もしかすると私たちは、相当昔から知り合いなのかもしれない。
「いろんな人たちと出会うことで、可能性が広がっていくと思うんだよね」
体調を崩したことで、また私の世界は狭まってしまうと焦りを感じていた。
でも、染井くんが広げてくれた世界に足を踏み入れることができた。
自分の世界が広がりを見せことに驚かされると同時に、私も染井くんの友達になれるのかなって浅はかな希望を抱いてしまった。
(私の存在を……認めてもらえるのかな……)
自分の存在を認めてほしいとか、普通の人からすれば気持ち悪い感情なのかもしれない。
でも、仲のいい友達を作ることができない人生ばかりを送ってしまったら、誰だって認めてもらいたくなる。
誰だって、ここで生きていてもいいんだよって証が欲しくなってしまう。
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