あたしのヌネガン食べたでしょ

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 俺とミホは、近所のコンビニに向った。家から歩いて五分のコンビニに、二分半ほどで着いた。  自動ドアが開くと、俺はお菓子の棚、ミホはデザートの棚へと急いだ。ガムや飴やクッキーにビスケット。ポテトチップスや様々なスナック菓子がたくさん並んでいる。  しかし、チョコレートは見当たらなかった。  ミホがいるデザートの棚も見た。プリンやゼリー、ケーキなどのデザートの中にも、チョコ味のものがない。  ミホが涙目で言った。 「ない……ヌネガン」 「チョコもない……」  ヌネガンなんて俺は知らないが、とにかくチョコが見当たらないので、ミホの気持ちは理解できた。  ミホはヌネガンのある世界から、俺はチョコのある世界から、このヌネガンもチョコもないパラレルワールドに来てしまったとでもいうのか。  ここがパラレルワールドであるかもしれないと思わせるものが、このコンビニにはあった。  俺はお菓子の棚から、ひとつの商品を手に取り、ミホに聞いた。 「これ、読める? 何て書いてあるの?」  ミホはその商品を手に取り、じっと見てから言った。 「ユ……なんとか、ク。」  その商品のパッケージには〈ユδっЮク〉と書いてあった。  ユδっЮク? 記号としては見たことある文字が入っているかもしれないが、バグってしまった文字みたいだ。 〈ユδっЮク〉商品は、ずらりとそろっていた。〈とろけるユδっЮク〉に〈アーモンド・ユδっЮク〉。〈ユδっЮク・クッキー〉に〈ユδっЮク・ポテト〉など、様々な〈ユδっЮク〉商品が並んでいた。デザートの棚にも〈ユδっЮク・ケーキ〉に〈ユδっЮク・プリン〉など、種類は充実していた。
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