ステージの下から、あなたと

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 高校二年生に進級して、とりあえず中学からの友人と同じクラスになれたことに安心する。自分はぼっちとか陰キャとか呼ばれるほどではないと思っているが、どちらかというと交友関係は狭い方なので友人がいるというだけでこの先一年間ほっとした思いだ。 「そういえば私の隣の席の鷺宮さんって昨日の入学式も来てなかったし今日も遅刻なんだね」 「ん、未祐は鷺宮さんのこと知らないん?」  始業式翌日の昼休み、その友人と昼食を食べながら話をする。私はまだ見ぬ隣の席の子を話題にだす。 「なんかあまり学校に姿を見せない人がいるってウワサだけ。その人が鷺宮さんなの?」 「なんでも学校公認でモデルやら女優やらやってるって話らしい。何度か廊下でチラ見したことあるけどたしかに美人、ってオーラあったわ」  こんな平凡な公立高校にそんな子がいるんだ。一年間気にもしていなかった私はやっぱりもうちょっと交友関係というか周りのことに気をかけた方がいいかもしれない。 「未祐この後は音楽室行くん?」 「うん、空いてたら弾いてくる」  私は特に話す話題もない日は、一人で音楽室に行ってピアノを弾くのが習慣になっていた。  とはいえピアノの腕は習っていたとはとても恥ずかしくて言えないほどの初心者だし、去年は一年生だったのもあって先約で弾いている人がいる日はすぐに引き返していた。 ***
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