0人が本棚に入れています
本棚に追加
息子の日記を読んで
「何なの!? これ!」
机の上にあった息子の日記を読んで、思わず声を出してしまった。
3月31日と4月2日はあるのに、4月1日がない。
代わりに3月32日があって、その日だけ、でたらめなことが書かれていた。
オニババ、やさいがたモンスター、ぬっぺふほふって何のことやら……と、一瞬思ったけど、すぐにわかった。
4月1日、私は息子を連れて、近所のスーパーマーケットに買い物に行った。
そこで、昼食や夕食のための食材を色々と買った。
やさいがたモンスターは野菜、ぬっぺふほふは豚肉のこと。そして、オニババは……
私のこと!
「何よ! オニババって! 確かに宿題を忘れたり、物を壊したりした時に、怒ったことはあったけど、そんないつもいつも厳しく接しているわけないじゃないわ! それなのに……はっ!」
言いかけた時、私は気づいた。
「4月1日はエイプリルフール!」
そう、4月1日。嘘をついてもいいといわれている日。
「だから、でたらめなことを書いたのね。それにしても、オニババって……」
息子を叱ってやりたくなったが、怒りは胸の内にしまっておき、何も見なかったことにする。
この日記は宿題というわけではないのだから。
私は日記を机の上に戻すと、掃除機を手に取り、床掃除を再開した。
最初のコメントを投稿しよう!