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“What did you do last Sunday, Mr. Miyajima?”
“Uh,…I went … shopping …to near supermarket.”
“Oh, you mean you went shopping at a nearby supermarket, don’t you?”
“Yes, yes.”
“Please repeat what I said.”
“I went shopping at a nearby supermarket.”
“Good!”
宮島徹は額に汗が湧き出ているのを感じた。この英会話学校『エタニティ』に入校したときクラス分けテストでは上位クラスに入れたものの、いざ授業になると、ブランクが六年あるのはきつかった。
そもそも徹は理系であることを言い訳に中高時代は英語を後回しにしたせいで、英語が不得意科目であった。学歴こそ旧帝大卒だが、英語の不出来を数学と理科で補ってかろうじて合格したのだ。大学時代は最初の二年は英語の授業があったが、あとはまったく英語に触れる機会がなかったので、八年英語に触れていないことになる。いかに忘れているかをレッスンのたびに痛感する。二十八歳の自分はここ十人のクラスでは最年長だ。自分よりはるかに若い連中がスラスラ答えているのを見ると、自分が情けなくなる。
どっとクラス中が笑った。だが、徹にはなぜ笑っているのかわからない。まじめな顔をしていると浮いてしまうので、あわてて自分も笑う。
講師のマイケルと目が合う。そのとたん、徹の頬が引きつる。まずい、何か質問されても、話がわからない……。
マイケルはほほえみを浮かべて徹にうなずいただけで、隣の生徒を指名した。
徹は、これでしばらくは大丈夫だ、と気が緩む。すると、決まって、ここに通うことになった事件を思い出してしまう。
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