第1章『共犯』

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No.2,謎の青年 「…………」 突然の出来事に、僕は驚きを隠せず、取り敢えず目を擦ってみる。しかし青年が姿を消す事はなく、肩に置かれている手の冷たさが、肩から消える事はなかった。あぁ、何が起こっているのやら。驚きとストレスと日々の疲れで、僕は瞳を閉じた。 * ……ここ何処。目を覚ましては、寝返りをうって回りを見渡す。あぁ、僕の家か。いつの間に玄関から部屋に移動したのだろうか。そんな事を考え、ため息を付きながらも、壁を眺めた。 と言うか、さっきの夢。結構リアルだったなぁ。肩に置かれた冷たい手の感覚とか、耳元で囁かれた感覚とか……それだけ疲れていると言う事だろうか? なんて思いながら、再び回りを見渡すと――夢に出てきた青年がいた。 「夢じゃない!?」 思わず、そう声をあげて起き上がる。青年は呑気にウインクしては、ピースをする。ミステリアスな雰囲気がしつつも、何処か陽キャな雰囲気もする。どちらにせよ、謎の青年と言う事実に変わりはない。瞼を擦り、瞬きを繰り返すが、どうしても青年が視界から消えない。と言うか、一旦彼は何者なのだ? 外見は僕達人間と同じ。手は冷たいが、冷え性なのだろうか。そして、1番謎なのは突然僕の目の前に表れたと言う事。きちんと鍵は閉めたし、他の部屋も閉まっている。それなのに彼は、どうやって部屋に入ってきたのだ? そして目的は何だ? そんな疑問を持ちながらも、混乱して中々状況を飲み込む事が出来ない。 苦笑しながら、じっと青年を見つめる。首を傾げて、どうしたの? と言う青年を無視する。すると、突然近付いては僕の肩を掴む。 「ねぇ、何で無視するの? 僕の事見えてるよね? ね? ね? ねっ!?」 圧力をかけるように言葉を強く言い放ち、僕の肩を強く掴んだ。痛い、と思いながらも、この状況に混乱して、どうしたら良いか分からなく、泣きそうになってしまう。何で僕が、こんな目に……何て思っていると、青年は僕から離れて謝る。深呼吸しては此方を見て口を開いた。 「まずは自己紹介からだよね。驚かせて、ごめん。俺は東雲 綾人(しののめ あやと)。幽霊だよ」 彼の一言に僕は驚きを隠せなかった。1歩後ろに下がっては、原稿用紙が、ぐしゃぐしゃになる。 「……は?」
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