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私は本名の桜とだけ名乗った
「ごーまるにー」
「ごーさんですか?」
「違う、数字の502 。
僕には君たちのような名前はないんだ。
個体番号とか識別番号とか…色々言われるけど、502 が僕のこと」
この男性はニックネームを名乗っているのだと桜は思った
「呼びにくいので、ごうさんと呼んでもいですか?」
「あぁ」
「ごうさん、よければ飴玉どうぞ
この間、お腹空いて困っていたようなので」
そわそわと緊張しながらそっと手渡した
まるでバレンタインに義理チョコを渡すときのような気分だった
「僕に?なんで?」
「なんでって、なんとなく……」
「ふーん……君ってお人好しなんだね」
「桜です。君じゃなくて桜です」
「お人好しの桜ちゃんか……」
「お人好しではありませんけど、それじゃ」
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