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「また会ったね桜ちゃん」
「今度はいつ来る?」
「桜、お待たせ」
あれからごうさんとは頻繁に会うようになった
待ち合わせは中庭のベンチ
いつのまにか桜と呼び捨てで呼ばれるようになった
病気になってからというもの、家族以外でこんなに親しくなった人は初めてで、名前を呼ばれるだけでも喜びが心に染み入るようだった
「桜……今日は君に話しておきたいことがあるんだ」
そんなとある日、ごうは桜に深刻な表情で語り始めた
「僕はね、実はヴァンパイアの血を引いているんだ。」
「は?」
くすっと桜は何の冗談を言っているのだろうと笑いをこらえる
「ヴァンパイアと言っても、桜の思い浮かべている存在とは少し違うかも。だって、ほら、僕は昼間にも出歩くことができているでしょ?
僕達は血液を欲するけど、基本的に人間を襲ったりはしない。
一定の周期があって、その期間に血液を摂取しないと空腹で死んでしまうんだ
比喩ではなくて本当に……
桜と初めて会った時、葛藤していたんだ
誰かを襲って血をもらうか、もしくはこのまま死を受け入れるのかってね……
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