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赤い瞳に魅入られると桜は頭がくらくらしてきた
慌てて目を逸らして呼吸を整えると
無言で立ち去ろうとした
桜の後ろからごうの声が聞こえてきた
「返事は今すぐでなくてもいいから……なるべく早くお願い」
苦しそうな物言いに心が締め付けられた
ごうさんにとってはちょっとの血液量のこと
その血液によってごうさんは助かる
でも私は……
少しの出血でも命の危機に直結する
母のあの言葉を信じるとしたならば、
もう少しすれば、移植手術をしてもらえるのかもしれない
そうすればきっと病気は治る
だから、手術後だったなら……
看護師に母の話が事実なのか確認しようとナースステーションへと向かった
どうやって切り出そうかとナースステーションからの死角になる位置で考え込んでいた
「ねぇ、例の人もうすぐらしいけど大丈夫かな」
「大丈夫って?」
「だって、ほら、危険人物だって…怖くない?」
「あー、ちょっと怖いけど今は力使えないらしいじゃない」
「本当なのかなぁ。だって化け物でしょう?」
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