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「桜、桜、もぅまったく。あの雨の中徘徊したのですって? 何考えているんだか……ねぇ、聞いてる桜…
あなたどこかケガでもしたらどうするの⁉︎
あなたは出血すると血が止まらないんだから、小さな傷でも命取りになるのよ!
だから大人しくしていてお願いだから…
お母さんあなたのためにがんばってるんだから。
あのねそれとね、いい報せよ。臓器提供してくださる方が見つかったのですって。
もうすぐだから━━」
昨夜病室に帰ろうとしたところを、巡回中の看護師さんと鉢合わせてしまった
ずぶ濡れの姿を見て驚いた看護師は、朝になり母に連絡を入れたらしい
折りたたみ傘では凌げないくらいの大雨だったから
(あぁ、うるさい
私のため? いつもいつも私のためって━━
一体いつ私が何か頼んだというの?
勝手に決めて勝手に押し付けて、さも私が望んでいたかのように偽る
昔からそう
洋服だって、学校だって、
私の意志を一度でも聞いてくれたことあった?
桜にはこれがいいのよって全部母の希望を通すじゃない
なにひとつ私の希望を聞いてくれたことなんてないのに
それに提供って……
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