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数日して少し歩けるようになった桜は、中庭に散歩にでた
母がいたら絶対に外へ出ることはできない
だからこそ母と離れたい一心で入院を決めたというのもある
もう自由になりたい……
心にわだかまりがあるものの、ポケットの中に手を入れると少し気分が浮上する
先程看護師さんから飴玉をもらったのだ
この間の男性に会えたなら、飴玉を上げようと桜は思っていた
飴玉を舐めていたら空腹が紛れると思うから
物思いにふけっていたので、何かに足を取られてバランスを崩して地面に転がりそうになったところを、ぎゅっと抱き止められた
「ごめん、大丈夫?」
地面に座っていた男性が桜を受け止めていた
「は、はい」
声が上擦りながら慌てて桜は飛び退いた
「あなたは、あの時の」
「あー……」
会えるといいなと思っていた男性だった
「今日はお腹はすいてないですか?」
「……」
「あの、お名前聞いてもいいですか?私は桜と言います」
この病院では、フルネームを名乗ることは禁止されている
親しくなりすぎることを防ぐためだそうだ
ニックネームでも好きに名乗っていい
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