10人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
1.
店のドアが開いた時、ふんわりとした花の香りが、風に乗ってミニブタのところまで届いた。
「こんにちは…」
入ってきたのはバラだった。
こういうところに入るのは初めてなのか、少し緊張しているようだ。
「いらっしゃいませ」
このカフェの店主のミニブタが笑顔で出迎えた。
白くて小さな、二歩足で歩くミニブタだ。
「このお金…使えますか?」
バラは古い銅貨と銀貨をミニブタに見せた。
「仲間のバラからもらったの。自分達にはどうせ無用なものだからって」
これらはバラ達が暮らしてるバラ農園に来た人が落としたりしていったもので、バラ達はそういうものをこっそり代々受け継いで、隠し持っているらしい。
「ふうむ…」
これらを現在の貨幣に換算するといくらになるのか、ミニブタには分からなかったが、小さな金額ではないだろうと思われた。
最初のコメントを投稿しよう!