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「──おおお! なんという魚の数! このような光景は見たことがないでござる!」
「これなら入れ食い状態ですねえ」
一方、その甲板の上では、船縁より海の様子を眺めてキホルテスとサウロが目をまん丸くしている。
「すごーい! やっぱお頭の魔術は効果覿面だね!」
「好。コレだけいれバ、しばらく食うに困らないネ」
また、マリアンネと露華も波立つ水面を眺め、眼をキラキラと輝かせている。
「魚料理か……ま、酒の肴には申し分ねえな」
さらに先刻まで壁にめり込んでいたリュカも、腫れ上がった頬を摩りながら懲りずにまた呑むことを考えている。
「どれどれぇ……おお、これはまた派手に飛び跳ねてるな。フォカロルのやつ、ちゃんと仕事をしてくれたみたいだ」
そんな仲間達の背中越しに、やって来たマルクも海を覗き込むと感嘆の言葉を口にする。
彼らが見つめる船の足下では、大量の魚達がピチピチと飛び跳ね、まるで撒き餌をしたかの如く水面に無数の白浪を立たせていた。
(El Prata Hambriento 〜腹ペコの海賊〜)
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