El Prata Hambriento 〜腹ペコの海賊〜

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「ああ。なるべく美味しいやつを頼むよ? いやあ、さすがは水域の公爵。海の上では頼りになるねえ」 「フン。なんの足しにもならねえお世辞なんかいらねえよ。ああ、送り返す呪文もいらないからな……」  願いが聞き届けられ、満足げに悪魔を煽てるマルクに対して、フォカロルはひどく不機嫌そうにそう告げると、何もない三角図形の上にバシャン…とまた水柱を立て、そこに水面があるかの如く床の下へ消えてしまう。  本来、召喚魔術では、最後に悪魔を送り返すための儀式もせねばならないのだが、不貞腐れたフォカロルは勝手に帰ってしまったらしい。 「…あ、なんだよ。せっかちなやつだなぁ……でも、これで準備万端だ。さあ、お魚ちゃん達、集まって来てくれてるかなあ……」  予想外にもいきなり儀式が終了してしまい、眉をひそめて文句をつけるマルクであるが、すぐに笑顔を取り戻すと短銃型魔法杖(ワンド)を腰のフォルダーに戻し、ペンタクルもしまって外の甲板へと向かった──。
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