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その言葉に賢二はニヤリと笑うと喜多郎に口付ける。そしてまた甘く愛を囁いたのだった。
「繋がれときたいんやろ、お前が。俺に」
「なっ……」
「一生、俺のそばにおる。ちゃうんか?」
「そんな、わけ……ない」
顔を真っ赤にして否定しながらも嬉しそうな表情を見せる喜多郎が愛おしくて堪らない賢二だった。
心と向き合い、その結果手にした恋。賢二はぽつりと思いの丈を呟く。
「嫌い嫌い言う相手を組み敷いて、いいようにセフレにできて、欲を吐き出して……考えてみれば、あの時から俺はもう堕ちてたんやろなぁ」
「……?なにに?」
きょとんとする喜多郎に賢二は薄く笑い、耳元で囁いた。
「お前に」
その言葉に喜多郎は顔を真っ赤にさせて俯く。その様子に満足した賢二はそのまま抱きしめる腕に力を込める。
「ずーっと、ずっと、俺の隣で、俺だけを愛してや」
全てを持ってる男の本当の願いは、ただその恋を愛にして紡いでいくこと。
それも瞬きの間ではなく、未来永劫ずっと。
そんな賢二の想いに喜多郎はアンドロイドだからとか、男だからとか、賢二にとっては些末なことを飲み込んで……ただ自分が求められたことに純粋に喜び、それでも意地悪く聞く。
「それは命令か?」
不敵な笑みを浮かべる喜多郎に賢二は微笑む。
「従順な愛より純愛が好みやねん」と。
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