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すべてのかよわきものたちへ
誰かの役に立つということが、何よりの幸せだと私は思う。
この食堂も、割とそれだけの理由で思い立って開いた。
「腹減った!今日のご飯なにー?」
今や毎日のように来るこの子供たちも、母親に連れられてきたときは顔も見せてくれなかった。恥ずかしがっているのか、私の存在が怖かったのかは分からなかったけれど、そんな子たちも、胃袋を掴めば一発、幸せそうな顔をする。
私が頼りないせいで…と申し訳なさそうにする母親もいるけど、いろんな事情がある世の中。今こそ助け合って生きていくべきだと思う。
「ごちそうさま!お姉さんまた来るね!」
「気をつけて帰るんだよー」
私にできる事なんて限られている。だからせめて、子供たちのおなかを満たせられたら…そう彼らの背中をぼんやり眺めている時だった。
うぅ、うぅ…と呻き声のようなものが聞こえて、振り返った。
「おなか空いたよう…」
そう言いながら泣いた子に、私は初めて出会った。
その子は、私より半分ほどの背丈で、おそらくまだ幼い子だった。私はその子の前まで行ってしゃがみ、「どうしたの?」と声をかける。それに気づいて、顔を覆っていた手を外して私を見た。
大きな瞳を潤ませながら、もう一度「おなかが空いた…」と呟いた。
「…ここ、私の食堂なの。お姉ちゃんが君をお腹いっぱいにさせてあげる」
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