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計画に狂いはない。もし、山上が女子生徒たちにセクハラしていたことがバレたとしても、それがアリバイが崩れる要因にはならない。絶対に捕まらないと、凪は自負していた。
「でも、凪の予想当たってたね。あの人は危険だって」
摩季がふとそう言った。凪は「うん。たぶん、あの人だけが私たちのことを疑ってるんだと思う」
凪は摩季に言う。しかし、このままいけば、あの男でも絶対に解き明かせない。そう思っていた凪であったが、この時の周りのクラスメイトたちの様子を見て、彼女の中で不安要素がひとつ生まれてしまった。それは、『この人たちを本当に信用していいんだろうか______。』ということである。凪は、自らの計画が完璧だと自負するがゆえ、自分のこの完璧な計画なのにも関わらず、ちょっと相手から突っつかれたくらいで不安になってしまうこのクラスメイトたちを本当に信用していいのだろうかと______。凪の中ではそれが一番の不安要素になってしまった。その不安が、うっかり顔に映ってしまっていたのか、愛生がふと、「どうしたの?凪」と聞いた。
「え?」
「なんか、ちょっと顔色悪い感じして」
「え、そう?もしかしたら少し疲れてるのかな」
凪は苦笑いしながら答えて、「私は先に部屋に戻るかな」と言って、足早にその場を後にし、事実に戻った。
一人、凪は自室のベッドに横になりながら考えていた。もしかしたら、最大の誤算はクラスメイト全員で山上を殺したことなんじゃないだろうか______。と。すぐに、そんなことはない。と自問自答を繰り返していた彼女の部屋を、アリスが訪ねてきた。
「ごめん、寝てた?」
「ううん、寝てないよ。とりあえず中入って」
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