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凪はアリスを中に入れて、「どうしたの?」と聞いた。すると、「いや、それはこっちのセリフだよ」とアリスは言った。キョトンとした顔をしながら、アリスの方を振り向き首をかしげる凪にアリスは聞いた。
「さっき、めっちゃ浮かない顔してたじゃない」
「あー、あれね」
アリスに聞かれて、凪はその不安について話すか迷った。自分は精神的支柱なのに、ここで不安を吐露していいものなのかと。アリスは「なんかあったの?もしかして、あの男に何か言われた?」と、心配そうな顔をしてアリスは続けて聞いてくる。
アリスは、凪の親友であった。恐らく、クラスメイトの中でも一番付き合いが長いし深い。生まれ育った環境も、もちろんその両親も違うのに、凪とアリスは妙に相性が良かった。そんなアリスを信じないわけがない。凪は「あの男に何か言われたとかじゃないんだけど______」と言って、その不安の要因を話したのである。
「みんな、やっちゃいけないことをしてしまったことで不安なだけだよ。そりゃあ、私だって不安だもん。まぁ凪が計画した犯罪だから、私は安心してるけど、そうじゃない人もいるかもしれないじゃない?でも、みんな、凪のこと信頼してるんだよ?だからみんなここまで付いてきたんじゃない」
そうだ______。殺人は、決してやってはいけない凶悪犯罪______。それを犯したのだから、不安になるのは仕方ない。ましてや、その犯罪を暴こうとしてくる相手がいる。そうなれば、不安はどんどんと膨らむだろう。それを改めて自覚した凪は、「そうだよね……」と呟いた。そんな彼女にアリスは「大丈夫、大丈夫」と囁きかけていた。
みんなのことは、私が絶対に守る______。
凪はそう決意したのであった。
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