エピソード①・おかしな彼女

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「私芸能界引退して一般人になってから就職したこの会社で初めて野口さんを見た時にビビビーッ!って身体中に雷が落ちて」 ビビビって…「電気が走ったじゃなくて?」 「あっ、多分それです!ごめんなさい、雷じゃなかったです!野口さん見たら身体中にバババーッ!て電気が走ったんです!」 擬音語変わってるし…。 ツッコむのもめんどくさくなっておにぎりをぱくりと食べるとその子は何も言わずに俺の隣に普通に座ってきた。 「…隣良いよって言ってないんだけど?」 「でもこのベンチって野口さんのじゃないでしょ?」 「そうだけど…」 「じゃあ誰が座ったって自由じゃないですか!私野口さんが好きなんで野口さんの隣が良いんです!」 「……」 呆れて何も言えなくなってきた。 あんま詳しくないから本当か知らんが、よっぽど何かない限り一般人は一生関わる事のない芸能界って未知の世界に居たから一般常識を知らないのかな この子?普通はさ、先に誰かベンチに座ってたら『お隣宜しいですか?』って聞くよね?好きだから隣が良いって…ワケ分かんねぇ……。 ますます嫌になってきてさり気なく腰を上げてちょっと離れて座り直すと「あ!」とその子はすぐ気付いて一緒になって俺のすぐ隣にスッと座り直してきた。
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