3人が本棚に入れています
本棚に追加
「…あー…のさぁ…」
さすがに苛立ってきて眉を寄せてその子を見るとその子はにこにこして俺を見ていた。
「キミ良い加減に…」
「私、牧野香織です!広報部です!」
「…あっそう……」
「野口さんは情シスですよね!情報システム部!機械類に強いってかっこいいですよねぇ!」
「別にかっこよくはないでしょ」
うちの情シスは寡黙で大人しい奴らしか居ないからどっちかっつーと地味な方だし。
男も女も皆眼鏡かけてて背向けて無言でパソコンのキーボード叩いて、朝のおはようございますと帰りのお疲れ様でした以外丸一日一言も話さない日があるのを思い出しながら淡々と話してると、別に面白い話し何ひとつした覚えなんてないのに牧野さんは楽しそうにしながら俺の話しを聞いていた。
「…何で笑ってんの?」
「楽しいから」
「面白くないでしょ。そろそろあっち行ったら?」
少し離れた向かいの方のベンチで牧野さんと同じくらいの若い女の子達がきゃっきゃっ話してる方を指差すと「野口さんと話してる方が楽しいです」と牧野さんは言って ジャケットのポケットに入れていたらしいピンクの銀紙に包まれたチョコを出してそれをぽいっと口の中に入れた。
最初のコメントを投稿しよう!